Far North Publishers Meeting

FUJITA

WARP AND WOOF
竹之内祐幸

☞ 本の概要
☞ 寄せられたコメントを見る
版元より:

竹之内氏とのコラボレーションが続くのはいくつか理由があって、ひとつに本作りにおけるチャレンジ精神を共有できるというのがある。制作上のキーワードはその都度あるように思うが、本気で作る、予算面でも妥協しないというハードモードで本件は始まった。

本のタイトル(経糸と緯糸を示す)、実際の作品群、本の刊行と同時に始まる個展のプランを聞きながらコンセプトを本に落とし込んでゆく。この本は特に造本が難しく、説明するのも面倒なほどに大変だった記憶だが、できたものとしては会心の出来であろうと思う。

ものの価値はすぐには判断できないことも多く、時間が流れてからこそ評価が定まるのだろうが、WARP AND WOOFは作家にとっては分水嶺のひとつとなるのではないだろうか、既にそんな予感を持っている。(藤田)

米山

写真家・竹之内さんとFUJITAの3作目であるこの本は、継続して同じタッグでつくることの凄みをさらに感じられるものだった。

前作も感じた「角が立っている」質感がさらに迫ってきて、構造は複雑になり、それなのに一体感は増し、前作が短編映像を見た後に得られる爽快感だったとしたら、今回は長編映画を見終わったときのような、体力を消耗したとも言える満足感を得られる本になっていた。

その変化の度合いが竹之内さんの写真の変化の度合いとかなりリンクしていて、造本的にはかなり大冒険しているのだが、「こうせざるを得なかったのだな」と思わせられる強度がある。

こういう本をつくってしまうと後が大変そうだ。でもつくるときはそんなことは考えない。この本をつくりながら竹之内さんは展示も企画していて、本の制作とともに展示の内容も変わっていったという。ふたりの協働が連れていってくれる境地を見せてもらえることがただただ有難い。

川崎

緻密で強度のある写真にもかかわらず、大きなチリ(本文よりひとまわり大きくつくられた表紙)や、異なるサイズの紙、途中に組み込まれた観音開きなど、ほとんど余白を用いずに、シークエンスと立体的な造りで作品集にリズムを生んでいることに驚いた。

作品ごとに丁寧にレイアウト・プリントが手貼りされた『距離と深さ[第二版]』と対になるような本作の立ち位置が、造本にも反映されている。

設計的に複数のトリッキーな要素を用いているが、すべてに必然性が感じられるため、作品より前にデザインが出ることも決してない。それゆえに上品でもある。

白石

まずこの本に収録されている、ソリッドで瑞瑞しい写真群に目を奪われる。竹之内氏と藤田氏のこれまでのコラボレーションの中でも少し違う立ち位置にある印象で、まず単純な気持ちよさを感じるアウトプット。

中面に白紙のページは一切登場しない。見開きそれぞれが丁寧に組まれており、楽しんで丁寧に作られていることが伺える。本自体、写真どちらも非常に高密度だが、ストレスが強いという印象ではなく瞑想的な雰囲気を持っており、ページをめくっているうちに気がつくと本の渦の中に飲み込まれているような感覚になる。